2012年2月7日火曜日

「復興計画 - 幕末・明治の大火から阪神・淡路大震災まで」 - 越澤明

東北地方太平洋沖地震、またそれによって引き起こされた東日本大震災からあと4日で11ヶ月、まもなく1年になろうとしています。

震害に加えて、東北地方から関東地方にかけての太平洋沿岸の地域は、津波による大きな被害を受けました。他にも、首都圏の埋立地などを中心とした地域で液状化の被害なども発生しました。



本書は2005年の発行であり、当然のことながら今回の大震災については触れていません。また、主に建造物が密集している「都市」における復興計画、それも大都市における「復興」の実態について述べています。

しかし、本書の中では次のようなことが繰り返し指摘されています。財政上の問題などにより、復興計画の縮小、または断念が数多く繰り返されており、後年それが「ツケ」として回ってくるということです。

越澤は、関東大震災後の東京市における復興計画について、現在につながるものであるとして肯定的に評価していますが、戦災復興時の都市計画については、その後大幅に縮小され、一部地域における事業のみが実施されたことを批判しています。

平成18年に東京都防災会議地震部会によってまとめられた「首都直下地震による東京の被害想定」(http://www.bousai.metro.tokyo.jp/japanese/tmg/assumption02.pdf)によると、想定されている東京湾北部地震などが発生した場合、山手通り(環状6号線)、環七通り(環状7号線)沿線などを中心に、火災による建造物の消失の被害が想定されています。本書において越澤は、この点について「この結果、木造密集市街地が山手線沿いにベルト状に出現した。今日、東京都の特別区に狭隘道路の拡幅、防災広場用地の買収など、密集市街地における防災まちづくりに大変苦労しながら取り組んでいる」(p.172)と指摘しています。


このような本書における指摘は、東日本大震災で大きな被害を受けた地域における復興、また現在発生が懸念されている、首都直下を含めた地域を震源とする南関東直下地震などに備えた首都の形成を考えていくにあたり、踏まえる必要のあるものだと言うことができるのではないでしょうか。



本書の内容は、これからの「復興」を考えていくにあたって、「復旧」ではなく、今後の都市の在り方を見据えた「復興」を行っていく上で強く参考になるものであるといえると思います。

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