川上未映子さん。NHKで放送されているトーク番組で川上さんの存在を知り、それから作品は読んでいなかったのですが、図書館でどの本を読もうかと考えていた時に川上さんの名前を思い出し、今回はじめて読んでみました。
冒頭から、主人公である1人の女性を軸にして、その女性から見た世界を「現実」として描いていきます。女性にとっては「ソト」である世界が、特徴的な認識で、しかし「現実」であり、リアリスティックを伴った描写で描かれていきます。読点を多く利用した、連続的で畳み掛けられるような描写も特徴的です。
ところが、作品後半になってはじめて、「他者」が発した発言として、それまで描かれてきた「現実」を真っ向から否定するような考え方の枠組みが登場します。この枠組みは、いわゆる「常識」にのっているものとして「現実」的な考え方だと言うことができ、それまで描かれてきた「現実」がいかにある種の「狂気」を伴ったものであるのか、ということを浮き彫りにします。
この、作中におけるパラダイムの大きな転換とも言うことができるような描写の直後に、「私だけがわかってる。いま舞い降りているこのことがどってんどでんと私だけにわかる美しい音を抱きしめながら、舞い降りていて、それが、この広すぎる夜の中にたぶんちょっとだけ響いてたんやったと思う。」という描写があり、それまでの「現実」の脆さ、非「常識」さを強調しているのではないかと思います。
本作品を読んで、畳みかけるような描写の「力」を感じました。今後も、川上さんの作品や他の作家の作品に触れることにより、文章の持つ「力」を直接的に理解していくことができたらと思います。

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